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2話 突き付けられた離婚届

ผู้เขียน: オデットオディール
last update ปรับปรุงล่าสุด: 2025-08-30 17:16:41

「……有り得ない……これ、何なの?……手紙の主は誰なの?」

そう言いながら龍月を見上げる。龍月の視線が冷たい。もしかして、龍月はこの手紙の内容を信じているの?確かに2年前、龍月のご両親は車に跳ねられる事故には遭ったけれど、大事には至らなかった。

「待って、龍月。こんなの間違ってる。私は何もしていない。ご両親に私が何かする理由が無いもの!ご両親にはお世話になっているの。今までもずっとお世話になって来たのよ?それなのに、その私がご両親を車で撥ねろなんて言うと思うの?」

龍月の私を見る視線は冷たいまま。あ、私、知っている、この瞳。龍月は自分に仇成す人にはとことん冷たくなれる人なのだ。そしてその冷たい瞳が私を見つめている。龍月の冷たい視線に晒され、私は背筋が凍る。血の気が引いて行くのが分かる。

「信じて!……お願い!……私は何もしてないの!お金なんて知らない、この手紙の主も知らないのよ……」

言いながら恐怖に体が支配される。体中が震える。そこで私は初めて思い出した。そうよ、私のお腹の中には……。

「龍月、私ね、妊娠してるの……あなたの子を身籠ってるのよ、お腹の中に赤ちゃんが居るの……!」

縋るようにそう言うと、ほんの一瞬だけ、龍月の瞳が驚きを見せた。けれどすぐに冷たい視線に戻る。

「それもお前とお前の母親の計画の一部か?」

そう聞かれても何の事なのか、分からない。

「仮にお前が妊娠していたとして。そもそも、お前のお腹の中に居る子供は俺の子か?」

まさか龍月にそう聞かれるとは思っていなくて絶句する。目頭が熱くなり、涙が込み上げて来る。

「誰の子かも分からない子供を妊娠したから何だって言うんだ?それで何か変わるのか?妊娠したんなんて嘘を言うな!」

ポロポロと涙が零れる。龍月は首を振って言う。

「残念だったな、俺はもうお前には騙されない」

龍月は私を冷たく見下ろして言う。

「俺は華凜と結婚するつもりだったんだ」

龍月の声は冷たく、まるで刃を向けられたように息が詰まる。

「お前はそれを知っていて、俺と華凜の間に割って入ったんだろう?両親に気に入られている事を逆手に取ったんだ。俺が両親には逆らえない事を知っていて、両親に圧力を掛けるように言ったんだろう?お前と結婚しないなら、後は継がせないと両親に言われた俺は従わざるを得なかったんだ……その悔しさがお前に分かるのか?」

私は泣きながら言う。

「だって、私だってあなたを愛していたのよ。この世の誰よりも深く愛していたの……妹よりも私の方があなたを思っていたのよ……それに……妹はあなたのお金が欲しいだけだったのよ……」

そう言いながら私は崩れる。お願いだから信じて……そう思いながら。

「お前はどうなんだよ、お前の家族は俺の金に目が無かったじゃないか。お前の意地汚い父親もお前の母親もみんな俺の金目当てだった……。唯一、お前の妹の華凜だけが俺の救いだったのに……」

龍月は私を睨み、私の顎を掴み上げると言う。

「何故あの時、俺がお前との結婚を決めたか分かるか?お前に華凜の優しさの一端を見たんだ……優しく微笑むお前は華凜に良く似ていた……お前の中に華凜の面影を見た気がした、それが無かったらお前などと結婚する訳無いだろう?」

龍月の瞳には憎悪にも似た光が宿っている。

「俺がお前に愛情を向けるとでも思ったのか?今になってお前の涙や懇願で俺を騙せると?笑わせるな、お前のような奴に向ける愛情なんて無い。お前に俺を愛してるなんて言う資格など無い!」

龍月は胸元から一枚の紙を出す。

「今すぐ離婚届にサインしろ。そうすればお前の罪にも目を瞑ってやる。お前の可愛い弟の職も奪わないでやろう」

弟?……急に何故、桃李の事が出て来るの?

「お前の弟が務めている病院に圧力を掛けないでおいてやると言っているんだ」

そう言われて思い出す。そうだ、桃李の務める病院は龍月の会社の傘下だった……。龍月が胸元から出した紙を私の目の前に落とす。

「離婚さえすれば、あとはもうどうでも良い。好きにしろ」

そう言い終えると、龍月は私を見る事もせずに背を向けて去って行った。

私は床に座り込み、途方に暮れる。目の前に落ちた離婚届。それを見ながら私は考えていた。あの手紙の主は一体、誰なの?どうして私にこんな酷い言いがかりをつけるの?離婚届を掴む。手の中で紙がくしゃっとなる。涙を流しながら私はひたすら考える。一体、誰がこんな事を仕組んだの?

龍月が去った部屋はまるで時間が止まったかのように静寂に包まれている。私の視界はまるで濃い霧がかかったようで、ただあの手紙だけがその存在感を白く浮き立たせている。瞬きをすると瞼の裏側にはその手紙の残像がまるで幽霊のように映り、私の心に漂い、私を捕らえる。

「何で……どうしてこんな事に……」

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